受容

朝、光が射すと目を覚まさせられる。縁側の窓越しにあどけない少女の笑顔。金色に輝く太陽の光を浴びて、ゴミ捨て場まで静かすぎる集落の中を彼女と散歩する。鎖につながれた黒い犬が尾をふりながら吠えたてる。他愛もない言葉を交わし、咲いている花のことを考えたりする。最近、調子があってきたウグイスの鳴き声、常識に支配されていない少女の発想に敵わない。

毛布にくるまっている苗を太陽にさらし水をやる。新しい芽が数箇所から顔を出している。昨日よりも今日、今日よりも明日。芽が出ることを気にしていると、受け入れるしかないことがわかってくる。知識は必要でも必須ではないように思う。求めない、すべてまかせて感じるだけ。

ピンク色のテーブルクロスが敷かれ、菜の花の炒め物とパンを食べる。手と鼻の頭が黒ずんできている。晴れた日は外で食べる。日焼けすることに自ら無防備になる。

晴れの間に、湿った風が南から吹いてきて、にわか雨が降り、またすぐ晴れる。少しでも水を与えられた大地からは、感じることができるものだけが成長する。気づかなければ埋もれたままでいる。土の中ももしかしたら幸せなのかもしれない。

菜の花の勢いが強くなった。見ごろは終焉を意味する。完全に咲いたら後は萎んでいく。そしたら種になる。


 われわれは、自分自身になりきる暇がないのだ。
 われわれには、ただ幸福になるだけの余裕しかない。 

 カミュ

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