冬ときどき春

今日も雨はあまり落ちてこないものの、一日中すっきりとしない天気。太陽を待っているけど、なかなか顔を見せてくれない。こういう天気が続くともやもやしてくる。洗濯物もどんどん溜まっていく。部屋干しでも仕方ない、洗濯は憂鬱な気分を少しは晴らしてくれるもの。

昼食の後、敷地内を少し散歩する。たっぷりと雨を吸い込んだ大地、柔らかすぎて歩くのを躊躇うくらい。薄暗く肌寒い午後だけど、足元に感じる日増しに蠢く草花の準備体操。洗濯ができなくても、この雨が冬から春へのきっかけになっていると感じる。朽ちかけているリンゴ林の方から、キツツキ類のドラミングの音が聞こえてくる。とてもせわしなく叩きつけるリズムが、また気持ちを高ぶらせてくれる。たぶん君はコゲラかな。ありがとう。

仕事を終えて炭に火をつけて、ゆっくりと土間ですごす。随分と火と仲良くなってきた。扱い方ももう戸惑わないくらいに。伴奏には、ドヴォルザーク「交響曲第7番」を選ぶ。重厚さと軽快さのバランスが心地よく響く。友人の持ってきた本から野外生活術について書かれたものを読み、飯盒でご飯を炊きたい、外で寝たいと思いながら笑う。どこかの古本屋で何となく手に入れてあまり読んでいなかったシェリーの詩集にも少し目を落とす。そしてぼんやりと愛について考えてみる。小さな愛、大きな愛、博愛、慈悲。孤独。人間。

静かすぎる夜。
昼間に出会った野草。

どうして春が来て花が咲くのか。
緑、赤、青、黄色。

冬の後には春がくるけど
春の次には冬は来ない。

冬から春。
孤独から博愛。

冬ときどき春でいい。
春の次には冬は来ない。

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